日本の高校教師が教育について自論を語ってます。

高校教師の考えた教育論

現役の高校教師があーでもない、こうでもないと教育について愚論を展開しています。

外部模試の必要性

 結論から言うと「外部模試は必要なし」です。理由は以下の通りです。

1  試験問題が通販サイト売買されて試験の命である公平性が保証されていないから。

2  1により、模試の結果の信頼性は乏しく、進路指導資料にならないから。

3  模試の前後に送られてくるネット配信の課題が授業進行の妨げになっているから。

 以上が外部模試を不要とする理由です。

 現に明日本校で実施予定の模試の問題と解答解説は8000円前後で売りに出されています。

他校はどうかわかりませんが、本校のように、この模試の成績が来年度のクラス編成に関わるとか12月の三者面談での話題にのぼるとかなれば、生徒たちは事前に問題を知りたいとか解答までわかればという誘惑に駆られても無理はないかと私は思います。

 実際に特定の外部模試の成績順位だけが異常に良くて困惑してしまうケースが毎年あります。

 主催している会社に窮状を訴えても、対処方法は無いとのことでした。模試実施日を解禁日初日にすればネットに出回る前にできるので、学校の行事予定をやりくりして解禁日に実施している模試もありますが、すべてをそうすることは出来ません。もし、自分の学校がそうしても他校がそうでなければ全国偏差値などの信憑性はありません。

 おそらく、高校1、2年生において不正が多いのではないかと思います。それは先程も書いたように次年度のクラス編成や面談資料に使うと言われるからだと思います。また、3年でも指定校推薦に関わる資料になるとわかっている模試は危険だと思います。

 高い受験料を払って、不信感を持ちながら外部模試を受ける意味はあるのでしょうか?

 この模試はこうこうだから重要だと教師が言えば言うほど不正に手を染めてしまう生徒が増え、模試の後は後で「これは本当にあいつの実力か?」と疑わないといけないものを実施している方が私はおかしいと思います。

 元々から模試対策なる奇妙なものが横行して、通常の授業の邪魔になっているのに、その上、データが使いものにならないなら、本当に無意味であり害しかないです。

 代案としては、1番は学校の手づくりの実力試験の復活ですが、多忙な中、今更戻れないならば、外部模試の学校ごとのカスタマイズはどうでしょうか?

 つまり、会社が用意した複数の問題から、学校側が大問の組み合わせを選択して学校ごとに違う模試を実施するというものです。特に1、2年生の間などは進度がズレていることもあるので習った後の定着度を見るには最適です。全国で同じ問題の正答率はどうかを見れば大体教師の知りたい生徒たちの実力はわかります。不正の心配はないので校内順位を基にクラス編成しようが面談しようが問題無しです。

 3年生になって、より全国の状況が気になるようになれば、レベルを揃えた模試を複数種類会社が用意して、バラバラに配布して、各学校で実施してもらえばいいと思います。難易度によって得点調整すれば、推計の域は出ませんが全国での立ち位置は確認可能でしょう。

 更に今よりもっとタブレットかPCの普及が進めば、紙と違って問題のカスタマイズは容易になるでしょう。問題が当日配信され、固定された問題が出ないとなれば、事前に不正購入する意味は無くなります。

 また、この方法が模試で可能になれば、この模試の成績を大学入試にも使えばいいと私は思います。本人確認とタブレットやPCの前に一定時間本人がいるという確認さえすればいいのです。英検での優遇措置があるのだから、模試での優遇措置があってもおかしくないでしょう。大学側も入試に費やす労力を入試面接に振り分けるか、大学での授業や試験に振り分ければ助かるのではないでしょうか。万が一、不正を犯して入学しても大学を卒業させなければいいのです。もちろん、高校の格付けは入学者と卒業者の相関ということに変わります。

 高校生も複数回ある模試で力を出せば良いので追い詰められる感じはないでしょうし、何度も修正努力して多くの生徒が最後の「模試」まで努力するでしょう。コロナ禍でも心配いらなくなります。

 外部模試の必要性から飛躍しすぎましたが、一つの問題を克服することによって、他の問題も解決可能になると思います。模試のデジタル化、個別であって個別でないテストの開発、如何でしょう。