日本の高校教師が教育について自論を語ってます。

高校教師の考えた教育論

現役の高校教師があーでもない、こうでもないと教育について愚論を展開しています。

歴史学科のある高校

  英語科や理数科が普通科全日制高校の特殊バージョンとしてあるのに、なぜ歴史学科はないのでしょうか?

  私は小学生の頃から歴史関係の本を読むのが好きで、中学校では歴史の授業が楽しみでした。しかし、中学校で習う内容はだいたい知っていることが多く、物足りないものでした。高校に入ったら、きっと詳しく習えるものだと期待していましたが、授業数は少なく、受験に必要な範囲まで進まないといけないという理由で薄く速くの感じで授業は進みました。いつしか歴史への興味関心は薄れていました。こういう人はたくさんいると思います。

  今などはゲームで歴史に興味を持って、面白そうと思っている生徒が多いと聞きます。こういう歴史への興味関心が遺憾無く発揮されるユニークな高校が少しは存在してもいいのではないかと思います。

  理科が得意とか好きだというと、金の卵を見つけたかのように扱われるのに対して、歴史が好きだとか社会が得意というと、あっそうと軽くかわされているのが今の状況ではないでしょうか。

  これは実際、大きな損失だと私は思っています。確かに大学受験制度の中で地歴公民の配点は高くないですし、受験においては詰め込みで通過していくというテクニックが横行しています。しかし、本当に歴史に興味関心がある生徒はただの暗記マシーンではありません。もし、あの時にこうなっていたらというような想像力、そこから生み出される論理的思考力、未来を構想する創造力など多くの才能を培っています。それも自立的にです。

  もし、日本の教育制度にまともに歴史を考えるシステムと評価システムがあれば、現代の課題解決に資する人物がもっと増えていたと思います。実際に、ある分野で実績を残している人は、歴史好きの人が多いと思います。また、反対に考えると、今までどうだったのかを考えない人が新たなことを考え生み出せるはずもありませんから、当然といえば当然です。

  歴史好き、本好きの子供たちを大事に育てていくことこそが、グローバル社会に対応できる真の人物を育てることなのではないでしょうか?英語をしゃべる力は後からでも、機械でも補うことは出来ても、歴史に根ざした深い思考は人間にしか出来ないと思います。そして、それこそ、長い年月をかけて醸成される力だと思います。