日本の高校教師が教育について自論を語ってます。

高校教師の考えた教育論

現役の高校教師があーでもない、こうでもないと教育について愚論を展開しています。

恋う、学校再開

 全国一斉休校の要請が出て、授業がなくなり、そのまま春休みに突入する感じになっているところが多いかと思います。

 長い春休みと考えればそう取れなくはないと思いますが、長時間子供が家にいるという常ならぬ状況にそろそろお母様方のイライラが限界に達しているのではないでしょうか。

 学校でも早くクラブ活動や講習を始めて、いつもの休みのようで休みじゃない春休みに戻したいとは思うのですが、ことが人命に関わる感染症だけになかなか「ハイ、じゃあ、ソロソロね」と簡単にゴーサインが出せないでいます。特に大阪は感染爆発か否かの山場を迎えていますので、尚更です。皆さんの地域はいかがですか?

 生徒不在の学校はゴーストタウンのようで気持ち悪いほど静かです。少し慣れてきましたが、職員室にじっと座っていても、正直つまらないです。やっぱり、チャイムが鳴り、起立礼をして、「ほな、前の続きから。前回の話し覚えてるか?粟田殿は何しに退出すると言ったんですかねぇ、ハイ、じゃあ、安藤、答えて!」「あら、まだ、準備できてない?そんなことやと、身代わり出るでぇ、誰を犠牲にしようかなぁ、えっ、答えられる?いいね、うん、ハイ、そうやね。何勝ち誇ってんねん、当たり前やろ、えっ、別に?いや、今、確かに出来ました感出てたやん、なあ、じゃあ、その次の所も読んで、サラッと訳せたら認めよう!じゃあ、どうぞ!」なーんて、アホなことを言いながら授業して、途中で「権力闘争というのはな、目に見える場合とそうでないと場合があるわけや、例えばな…」とか脱線してしまい、しゃべりまくっているうちにチャイムが鳴り、「何の話しやったかわからんようになったけど、不用意に人からモノは貰わないようにな、ええか、酒井」とか更に意味不明な教訓を垂れて、「ハイ、終わり」、起立礼の後の、半笑いのような教室の空気を早く取り戻したいです。1時間ぐらいあっと言う間です。

 掛け合いというのか、全員としゃべるわけでもないけれども、意思の疎通があって、スイッチが入ったり抜けたりしながら、「あー、もう終わりかいな」という時間の過ごし方というのは、生徒と向き合っていて始めて成立するパフォーマンスです。他の先生方はもっときちんとしていらっしゃるかも知れないですが、私はあんまり狙いとか持たないで、入っていって、結果的に「なんか面白かった」と思ってもらい、ついでに知識も着いたら良いなあと思ってます、どちらかというと、行き当たりばったりな授業タイプです。反省はしますが、なかなか治らないです。すいません。

 というような、アドリブ満載、自由自在な舞台が無くなり、本当に寂しいです。周りの先生方は「進度が、範囲が、成績が、あー、間に合わない」ことを嘆いておられますが、私はそれに調子を合わせつつも、内心では、早くしゃべりたい、生徒の反応みたい、ええネタあるのにぃと考えてしまいます。ネタはメモを取るようにしているのですが、鮮度は落ちていきます。

 ソフトテニスの指導を部活動でしていた時も、「今日はこれ試してみようっと」ワクワクしてコートに行ってました。だから、1番にコート入りしてしまうのですが、選手に早くそのネタを試してみたくて、反応見たくて、楽しみが先行してました。他校との練習試合なんて、実験の宝庫で、早く早くと思ってました。もちろん、本大会はその意味で、ワクワク倍増、優勝したら、「大当たり!」、負けたら、「次までにもっと違うネタを仕込む」と息巻いてました。

 ということで、まだ、学校が再開されず息の詰まる思いをされているご家庭が多いかと思いますが、おそらく私のように、再開を待ち切れない個人的で自己中心的な理由を持つ教師が、「早く早く」と急かして前倒しを図ると思いますので、今、しばらくお待ち下さい。